【FB】杉山愛さんが語る、「人間力」を育むスポーツの力
2016年8月5日
私は、年間約250日、週単位で各国を転戦するツアー生活を約17年間続け、
グランドスラム連続62回出場という世界記録を達成しました。
ツアープロどうしは戦う相手でもありますが、
こうした過酷な境遇の中では連帯感が生まれます。
尊敬するトップアスリートたちと交流できたことは、
私にとっての財産。
ランキングが上にいくほど高まる彼らの人間力に魅了されました。
25歳に経験した大スランプを機に、私自身も自分と向き合い、
テニスを続ける目的意識が明確になりました。
一つは、テニスを通じて自分自身を磨き高めること。
もう一つは、見る人が元気になるような
ポジティブなエネルギーでプレーをすることでした。
意識が変わると日常生活や目にすることが変わり、
おのずと選手たちを見る目も、より人としての魅力にフォーカスするようになりました。
ツアーでは、優勝しなければ必ず負けて終わります。
異なる文化、習慣、国民性を持つ土地での真剣勝負ですから、
行く先々で適応力を発揮しなければなりません。
自分をいかに律し、整え、平常心で
試合に臨めるかが勝敗を左右します。
私自身がトップ10に入って見た世界には、常に高いモチベーションを保ち、
人間性を高める努力を怠らない、優れた人間力を持つ選手たちがいました。
トップ選手から学ぶ人間力
ランキング上位のプロに共通しているのは、
精神的な芯の強さと柔軟な対応力、そしてユーモアです。
こだわりはとても大切にする一方で、
それ以外の瑣末(さまつ)なことは一切気にしません。
試合中には、嫌なことも腹の立つことも起きるものですが、
いかにイライラせずに現実を受け止めて打開策を見つけ出すか、
対応力、判断力、解決力が瞬時に試されます。
上位にいくほど、試合はタフになります。
トッププレーヤーにしかわからないプレッシャーも当然ありますし、
スポンサーとの仕事やお付き合いにも対応しなければなりません。
しかし、彼らはユーモアを交えながら、
軽々とこなしていきます。
エネルギーの質が高く、オン/オフの切り替えがきっちりしているので、
余裕を持って人生を楽しんでいるのです。
トッププレーヤーたちには、
人としての豊かさとは何かを教えてもらった気がします。
スポーツで養う「がんばる力」「壁を超える力」
海外遠征などで中学、高校を休みがちでしたが、母はどうやら、
人として必要な生きる力は、学校で学ばなくともテニスを通じて十分育まれる、
と信じていたようです。
実際にそのように育ってきて、
私も同じ思いです。
母はこの経験を研究論文にまとめ、
ゴールデンエイジの子どもたちを対象に、
スポーツで生きる力を育む活動をしています。
ベースは「楽しめるか」どうか。
楽しくないことは続けられませんし、
続かなければ多くの能力が開花しません。
ご家族はぜひ、子どものワクワクしている表情を見逃さず、
もっともっと楽しめるようにサポートしてあげてください。
サポート時には、保護者のかたは
「待つ力」も試されるかもしれません。
「待つ」ことを強いられる場面では、
忍耐力を養うチャンスととらえてもらえたらいいなと思います。
スポーツは、「がんばる力」「壁を超える力」も養います。
人生はうまくいくことばかりではありません。
うまくいかない時にも、それをどうとらえて
前向きな力に転換させていくかが重要。
スポーツには、
試合などその力を養う機会がたくさんあります。
負けてもしくじっても、
「大丈夫」「がんばれる」と自分を信じる力を養う機会を、
幼いうちからぜひたくさんつくってあげてほしいと思います。
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